パッパルデッレ 猪のラグーソース × タウラージ 猪突猛進の味わい
2023/11/14
イタリア中部、トスカーナの伝統的な料理にPappardelle Peposo(パッパルデッレ ペポーゾ)というパスタ料理があります。
牛肉の胡椒をきかせた赤ワイン煮込みのソースを、幅の広いパッパルデッレで頂きます。
トスカーナ州の煮込み肉料理ペポーゾ。この肉をほぐしてパスタのソースにします。
ペポーゾは、鍋(またはテラコッタ鍋)に肉とキャンティと黒胡椒入れて薪をくべた釜の入口に放置。放置していたらなんか美味しくなっていた・・・という料理です。
この料理には赤ワイン、サンジョベーゼが欠かせません。
すね肉のねっとりした旨味に黒胡椒が効いていて、ワインが欲しくなります。程よい酸とタンニンの味わいで、またパスタに手が伸びる・・・無限ループです。
さて、そんなペポーゾの牛肉を猪にアレンジして作ったのが
~ Pappardelle al ragu di cinghiale con castagna ~
猪のラグー パッパルデッレ 栗とともに です。
猪をスパイスやハーブ利かせ赤ワインで煮込み、ほぐして栗と一緒にパッパルデッレと合わせました。
実はトスカーナは栗も有名です。
少々話は反れますが、日本とイタリアの“栗”は品種が違います。
和栗は黄色味が強く、イタリアを始めとする西洋栗は茶色っぽい。
色の違いから、イタリアの栗と日本の栗は種類が違うことはわかるけれど、他にどんな違いがあるのか気になります。
そもそも世界には大きく4つ種類があります。
1. 日本栗(和栗)
2. 西洋栗
3. 中国栗
4. アメリカ栗
1. 和栗
大粒で風味が良く、甘さは控えめ、ホクホクとした素朴な味わいが特徴です。
果肉は黄色。渋皮が剥がれにくく、果肉は割れやすい。さらに、和栗には細かく多くの品種があります。
2. 西洋栗
「イタリア」や「フランス」、「スペイン」など、ヨーロッパで生産されています。
和栗よりやや小粒で果肉がしまっていて、粘り気が少なく、力強い風味です。
果肉は茶色。渋皮が剥がれやすく、むきやすいのも特徴です。
3. 中国栗
天津甘栗と呼ばれています。
渋皮が剥がれやすく、果肉がしまっていて甘みが強い品種です。
4. アメリカ栗
渋皮が剥がれやすく、果肉は粉質で甘みが強い品種です。
100年ほど前に発生した「胴枯病」で激減し、現在市場にはほとんど出回っていません。
話を元に戻し、そんなイタリア栗を合わせた猪のラグーソースでパッパルデッレを頂きます。
さて、猪のラグー パッパルデッレに話を戻しましょう。
広島県産の猪肉を骨ごと赤ワインでじっくり煮込み、栗と合わせ、深みのある味わいのソースに仕上げました。
合わせるパスタは濃厚で力強いソースと相性の良い手打ちパスタ “パッパルデッレ” でご用意。ボロネーゼの肉をゴロゴロさせた印象です。
この野性味のある味わいには、先にも述べましたが、教科書的には「サンジョベーゼ」、または「サンジョベーゼ グロッソ」から造る、「キャンティ クラッシコ」や「ブルネッロ ディ モンタルチーノ」あたりが王道です。
しかし相手はイノシシ肉、この野性味に合わせるのであれば、「タウラージ」がお互いの味わいを引き立て合います!
熟したチェリーやプラム、クローブ(丁子)、チョコレート、ほのかにバラの香り。複雑かつ濃密。口に含むとアタックは強く辛口 グリップのある強い酸味、ドライでゴツゴツしたタンニン。 ワイルドで力強く少々アグレッシブ。フルボディ バニラのフレーバーを纏う余韻は長め。
トスカーナ州の伝統料理にトスカーナのワインを合わせるのも良し。肉感やソースの味わいに、ワインの味わいを寄り添わせるのも良し。
料理を咀嚼した時に、「飲みたい!」と思う飲み物が(それがワインであれ、ビールであれ、水であれ)、マリアージュの第一歩だと私は思います。