和牛のチンジャオロース × シノン レ グランジュ ベルナール ボードリー（ロワール・フランス）
Ji-Cube 2024.5～6 おまかせコース料理より 5品目
～ 青椒牛肉 ～
柔らかく焼き上げた和牛サーロインを、チンジャオロースの味付けで炒めたピーマンと仕上げた“未完成”のチンジャオロースになります。
軽く混ぜてチンジャオロースを完成させてからお召し上がりいただきます。
2020 Chinon les Granges Bernard Baudry ／ Loire・France
シノン レ グランジュ ベルナール ボードリィ ／ ロワール・フランス
収穫から4年ほど経ち、ワインの状態が落ち着きを見せた頃かと思います。
出来立てのワインというのは、このシノンに限らず角が立つ印象があります。
丁度良い塩梅に熟成したこのシノンは、香りに“ピラジン”という“ピーマン”のような独特な青い香りが支配的です。
この“ピーマン香”を感じられた方は、皆さん驚かれます。カベルネ フラン種というブドウ100%で造られます。
味わいは、香りとのギャップがあり、“野菜的な青い香り”の要素より、非常にミディアムで円やかです。
和牛のサーロインの刺しの入った肉質、身質とワインのボリュームを合わせました。
ステーキではないので、タニックでパワフルな赤ワインではなく、程よい濃さと丸みのある味わいのワインを合わせました。チンジャオロースのソースの味わいともよく合います。
カベルネ フラン種は、主にボルドーの赤ワインでその補助品種として使われたり、フランスのロワール地方では単体で、長く栽培されている歴史があります。その原産地はスペインのバスク地方と言われています。
カベルネ フランの香りの特徴には
クランベリー、ブルーベリー、カシス ／ スミレ、キャンディ ／ ピーマン、アスパラ、緑の葉、ミント
ボルドーでは、カベルネ ソーヴィニョン種を主体にメルロ種やカベルネ フラン種などがブレンドするため、その“野菜的な青い香り”は抑えられ、味わいを補填する役目となっていますが、ロワールでは単一品種でワインが造られるため上記のような香りが顕著に感じられます。
ロワールは、フランスの北西部に位置し、歴史的重要都市やシノン城をはじめとした100を超える古城が点在することから「フランスの庭」と呼ばれ、風光明媚な観光名所として親しまれています。
「ベルサイユのばら🌹」の舞台となった場所でもあります。ｵｽｶﾙ~
私も、何年も前のことですが、フランスに滞在した際に、この辺り、シノン城やシュノンソー城など、城塞やワイナリーを巡りましたが、本当に美しい景観に感動したのを覚えています。
ブドウの栽培は、城を中心にブドウ畑が広がっています。
フランスやヨーロッパでは、テレビなどでも見られるように、大人の腰の辺りほどの高さでブドウ栽培する“垣根仕立て”という仕立てです。
（日本は“棚仕立て”で栽培されますが、これは湿気の多い日本とそうでない欧州との気候的違いによるものですが…）
城の周りに広く栽培される“垣根仕立て”のブドウ畑は、中世より、敵の襲撃を受けることを想定し、小高い城から見渡せることで、敵兵が隠れ潜む場所を無くすという役目も果たしています。
とは言え、今日その歴史と美しい景観から、2000年にはユネスコの世界遺産にも認定されました。
フランスで一番長い（1000㎞ほどある）大河がフランスの南部から大西洋に注ぎ、東西に長いことから気候、地理・地質的にも多様性に富んでおり、爽やかな白ワインから芳醇な赤ワイン、スパークリングワインや甘口ワインまで、バラエティ豊かなワインを生み出す銘醸地です。
これからも、ロワールの多様な味わいのワインは、ペアリングで度々登場するでしょう。
Ji-Cube
ソムリエ 吉岡 喜代志
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